訪問看護ストーリー
Story
「ここから子供たちが遊んでいるのを見るのが楽しみでね~」と、訪問時ある利用者さんは自宅の窓から外を眺めてそう言います。
シルバーカーを押して毎日のようにその前を通るまた別の利用者さんは、「きれいなトイレができてほんと助かりました。」と。
数ヶ月前、「くるみ公園」が新しく生まれ変わりました!!
この公園は、当訪問看護ステーション利用者さんが何人も住んでいる団地が近くにあるため、私達も毎日のようにその前を通ります。
数年前、私達は40代で肺がんを患っていたAさんのお宅に訪問していました。
Aさんは父を看取り、その家業を継いで母と二人暮らしに。その母も病気となり、まもなく自身も肺がんが見つかりました。治療しながら母を看取って、出会った頃は一人暮らしをされていました。
病状は進みターミナル状態へ。財産を残す人もいないので、何か誰かの役に立つものを寄付したいと、ある頃から色々考えているようでした。そして、区の方から公園の遊具の老朽化の話を聞き、自分が昔遊んでいた公園の遊具を寄付することを決めました。私達が訪問している時にも、カタログを一緒に見たりしていたことを今懐かしく思い出します。
公園が完成するまで自分が生きていることは難しいことを十分分かりながら、私達が完成をきちんと見届けることを約束して、Aさんは緩和ケア病棟に入院され、亡くなりました。
その公園がやっと完成したのです。
毎日たくさんの子供たちが楽しそうに遊んでいます。そして、子供たちだけでなく、利用者さんをはじめとする地域の人たちも、この公園のリニューアルをとても喜んでいます。
公園の前を通るたび、Aさん喜んでいるだろうな~と思い、あたたかい気持ちになります。
Aさんの思いがこういう形で実を結び、地域に根付いて繋がっていく、、、。それを感じながら訪問看護ができる幸せをかみしめています。