訪問看護ストーリー
Story
2025年度の訪問看護ステーション基礎講座は順調に進んでいます。9月17日は
『在宅における認知症看護の理解』
『訪問看護におけるリハビリテーションの理解』です。
今回は、法人内他事業所からも看護師2名が参加され、総勢11名(看護師8名、理学療法士2名、作業療法士1名)で受講しました。
午前は在宅における認知症看護の理解の講義を受けました。
講師は地域包括支援センター千寿の郷 認知症認定看護師/保健師さんです。講師は2年前まで北千住訪問看護ステーションで訪問看護師として勤務されていた方で、愛情豊かな表現で認知症の症状を説明してくれます。対象者を決して決めつけの目線で見たりしない、利用者に足りないところを補おうとするケアを重んじているように思いました。その人が生きている物語。その人が見えている世界をイメージできるかがとても大事。それが分かると、私たちが何をサポートすれば良いのかが見えてくる。その人にして欲しいことを強制的に行うのではなく、自然に「行ってもらえるように」色々な工夫をするプロセス。綿のパンツにこだわるけど失禁してしまう利用者さんに対し『リハビリパンツにひらがなで【ぱんつ】と縦書きで書いたら履いてくれた』エピソード。誰かと一緒だと食事を自分で食べれるのに、一人だと食べることができない方、丁寧な観察と多職種の方との連携で対象者を広くとらえる技術は新入職員の大きな学びに繋がります。それでいて講師の具体的な症例のエピソードはどこかほっこりすることが多く、受講生はそれに聴き入っていました。尊厳を保ちながらも、どこか愉快。講師の経験の豊かさと訪問看護の実践があるがゆえにどの教科書にも書いていない知識と工夫が溢れていました。当日運営にあたっていた教育委員(中堅/ベテラン看護師)も一緒受講させて頂きとても勉強になりました。
薬の使用、新しい薬の使用が始まったら別の薬の終了のタイミングも一緒に考える。周辺症状が始まったら最初に薬を疑うと良い。
MCIよりももっと前段階で時に飲む新薬の予防の話。
訪問時のスキンシップの大切さ。触れることで安心感といい感じの距離感が生まれ利用者さんがリラックスできます。
本人に書類にサインをしてもらう様子を観察して認知機能の状態をみたりもする。
非常に実践的で新入職員には明日からでも現場で活用できる知識となりました。
辛い時ほど「笑顔をキープ♡」、利用者さんが何か失敗してしまっても「おーダメダメ」じゃなく、別のことをさりげなく準備できるようなスタッフになりたい。押し問答しても仕方ないですもんね。
利用者さんの困りごとに共感する姿勢がとても強いメッセージとして私たち受講生に伝わってきます。
熱心に質問をする新入職員作業療法士のSさん!
作業療法士、看護師から実際に自分が訪問に行っている利用者への関わり方を質問。引き出しをいっぱい持ってトライ&エラーでどんどん試してみたら良いのよ!
午後は訪問看護におけるリハビリテーションの役割の講義を受けました。
午後からクリニックの看護師2名が加わり参加されています。
講師は北千住訪問看護ステーションの理学療法士さん2名です。
始めに、「リハビリテーションとは何か??リハビリは機能訓練ではありません。」と言われると、看護師たちは「?」でいっぱいに!!😲
改めてリハビリとは、「持っていた権利を取り戻す」という行動に基づき、「リ+ハビリス」「re=再び」「habilis=ふさわしい、適した」再び人としてふさわしい状態ににすること、自分らしく生きていくことができなくなったときに、再び自分らしい状況になることを学びました。
つまり、リハ。ビリテーションとはその人らしさとその人らしい暮らしを支えることなのですね。
次に理学療法士と作業療法士の専門性の違いを学び、訪問セラピストが対象者を捉える思考過程について学びます。
ICF(国際生活機能分類)を用いて全体像をとらえながら、PDCAサイクルを展開し、生活機能や課題に対してアプローチしていきます。
実際訪問リハビリで関わった利用者さん達を事例にあげ、環境調整や福祉用具の利用し、独り暮らしでも利用者さんの残っている機能を使いながら、できることをアセスメントされ、変わらず一人暮らしを継続できるように検討し、指導されていました。
ますます、セラピストは「訓練する人」ではなく「暮らしを支えている」ということが分りますね!😉✨
実際に、訪問リハビリで関わった利用者さんの事例動画もありました。
動画の一つに、もともと奥さんに訪問看護が介入しておりましたが、体が不自由な夫が介護者することが難しくなり、夫へもリハビリが介入した事例がありました。数十年前の建物からの転落で、不自由になった体なので「治らない」という利用者自身の発言もありましたが、床からの起き上がり方を試行錯誤・アセスメントを繰り返して、リハビリを展開しているうちにまっすぐ立てるようになり、負担の少ない方法で起き上がりや立ち上がりができるようになりました。利用者さんの体の動きはもちろんのこと、前向きな気持ち変化していき、その関わりに一同感動しました。👏
次に、訪問看護サービスの中のリハビリテーションについてお話されました。実は、リハビリテーションは訪問看護の看護師のサービスの一環として位置づけられています。受講者の方々は「ST内にセラピストさんがいるので、リハビリはセラピストさんが行うのかと思っていた・・・」という面持ちで、真剣に講義を聞かれていました。介護保険上での看護師と理学療法士・作業療法士のサービス提供時間に違いがあることや、主治医の指示書にはリハビリテーション提供に関する記載がのルールがあったりすることを改めて学びました。また、セラピストには行えない看護業務があることも現場では大変活かせる内容でした。
お互いの訪問看護サービスの違いや専門性を生かした協同が大切であると学んだところで、検討事例の発表、個人ワーク、グループワークに入ります。
症例を通じたグループワークでは、依頼書や指示書から情報を読み取り、全体像をとらえてアセスメントした後に、計画立案、看護の展開を考えました。症例はうっ血性心不全で酸素希望されないと選択をされた方。トイレに行くにも酸素低下してしまいます。個人でシートを作成した後、グループワークです。みなさん悩みながら、真剣にシートに書き込んでいますね…✍。この後はグループワークを行いました。看護師+セラピストのグループで互いに共有し、意見交換をし、まとめ発表しました。本日行ったように、現場でも看護師とセラピストで看護過程とリハ過程を重ね合わせ、利用者さんの生活を支えていけるといいですね。😉✨
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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