訪問看護ストーリー
Story
訪問看護師歴1年半のAです。
先日、利用者Xさんのお宅を訪問した際に、
Xさんの息子さんから「これを買ったんですよ」と
板を見せていただきました。
皆さん、何のために使うか分かりますか?
Xさんは高齢のため、徐々に足に力が入らなくなり、
今は息子さんが全介助で1日何回もポータブルトイレに移乗しています。
息子さんは最近、腰が痛くなってきたとのことで、
実は前の週に
スライディングボードという、椅子-トイレ間を
滑らせて横移動できる福祉用具があることを
説明していたのでした。
http://www.molten.co.jp/health/product/bed/05.html
息子さんは、自分なりに考えて、
しっかりと原理も理解されて、
スライディングボードと同じことができるように、
板を買ってこられていたのです。
(下記の写真参照:手前は椅子、奥はポータブルトイレです。)
ボードの代わりに板を買ってくるという発想はなかったと
私はすっかり感動してしまいました。
病棟では決して見ることができない、
在宅ならではの創意工夫と言えるのではないでしょうか。
ボードよりは滑りは悪そうですが、
息子さんは抱えるよりもつらくないと言っていて、
しばらくこの板を使用して様子をみることになりました。
その後も、息子さんに
いざえもんシート(ベッド上での移動がスムーズにできるようになる、
体の下に敷くビニールシート)を勧めた所、
こちらはその次の週にはすでに購入していて、
使い方もバッチリマスターされていました。
「今度、もっと滑る新製品も出るらしいですよ。
10月の福祉機器展で見てこようと思っています」と
看護師に最新情報まで教えてくれました。
http://www.moritoh.co.jp/?page_id=30
私たち訪問看護師が訪問できる時間は、
利用者さんの生活の中で、ほんの一部に過ぎず、
直接利用者さんにできることは限られています。
介護している家族に対して、
少しでも介護負担を軽減できる道具や工夫を紹介することも
訪問看護師の大きな役割の一つなのだろうなと思う今日この頃です。
ちなみにXさんの息子さんが行く予定の福祉機器展は
10月の1~3日にあります。
https://www.hcr.or.jp/
私のステーションの看護師も1人見に行く予定です。
現在の介護の工夫の最前線が見られる催しなので、
皆さんも行ってみてはどうでしょうか?