訪問看護ストーリー
Story
こんにちは、大島訪問看護ステーションです。
大島ステーションの利用者さんには90代の方が何人もいらして、
私たち看護師は、いつもその元気いっぱいの姿に圧倒されています。
「私たちもあんなふうになれるかな?」と。
今日はそんな元気なお一方を紹介します。
今年8回目の年男を迎えたAさん。
家族が一緒に住んでいますが、お仕事があるため、日中は1人です。
この方がなんといってもすごいのは、朝・昼食を自分で作っているのです!
夕食は配食弁当なのですが、それにもお味噌汁など自分で作った物を加えています。
奥さんがいた時はまったく料理をすることはなかったけれど、
自分が70歳の時に奥さんが亡くなり、それから自分でやるようになったそうです。
「俺が作った朝飯、けっこううまいんだよ」。
私が初めてこれを聞いた時、ステーションに戻ってから興奮して
「90代の女性でも自分で毎日ご飯を作っている人なんて、
あんまりいないのに、すごいですよね!」と言ったところ、
「50代の私でも作っていないよ」との言葉が所長・主任よりあり?!
すごく器用なんですね。
デイサービスでもいきいきと過ごしていて、
先日は96歳にして初めて刺繍に挑戦したそうです。
訪問した時に見せてくれました。(写真参照)
「他の人より早くできたんだよ。
下着破れたら繕い物とか普段からやっているからかな」とのこと。
しかしそんな元気なAさんでも、さすがに今年の暑さは堪えたのか、
8月のある訪問時、「もう俺はだめだ」と元気なく椅子に座っていました。
「だるいし、明日デイも休もうかな」とまで言っています。
すぐにバイタル測るも変わりはなく、水分も摂れているようです。
しかもよくよく話を聞くと、昼には天ぷらを作ったんだとか。
思わず私が
「天ぷらは面倒だから、1人暮らしになってから1回も作ったことないですよ」と言った所、
急にAさんは真顔になり、「面倒なんて言ったら、料理できないよ」
と言われてしまいました。
まったくもってその通り!返す言葉がありません。
「天ぷら作れるなら、今度Aさんが好きな餃子を作ってみたらどうですか?
私作り方教えますよ」と話したら、
Aさんは「餃子なんて家で作れるのかい?いいねえ。やっぱり焼き餃子がいいな。
満州で食べた時はうまかった」と、
話している間に、みるみる元気になってきました。
私が帰る頃には「明日はデイに行く」と言っていたので、もう大丈夫そうです。
私は「涼しくなったら、餃子を作りましょう」と約束して帰りました。
訪問看護師にとっても、今年の夏は暑くてつらかったけれど、
こんな素敵な人生の大先輩たちの姿に励まされて、
乗り越えることができたんだなと思います。