個別のニーズに応える認定看護師
私の祖母は助産師でした。祖母は昼夜問わず家々をバイクで回って、赤ちゃんを取り上げていたとよく話してくれました。自宅に往診に来てくれた開業医の先生に水を張ったタライとタオルを持って行くのは私の役割でした。そんなこともあり、家に出向いて活動する医療職は幼い私には身近な存在であり、憧れでした。
私は病棟看護師としてスタートしました。2年目の時に受け持ったがん末期の方との出会いが、より明確に訪問看護を志すキッカケになりました。余命幾ばくもないその方は、黄染で全身はまっ黄色。お腹は腹水によってパンパンで、私には病棟にいる患者さんの中で一番辛そうに見えました。そんな中でもその方は家に帰りたいと希望し、臥床位のまま抱えられて、家族の運転するバンに乗って病院を後にしました。その時から、明日からのこの患者さんと家族の生活を支えられるような看護師になりたいと思うようになりました。
大学病院で働いていましたが、その後、縁があって地元の訪問看護ステーションでアルバイトする機会がありました。季節を肌で感じながらの訪問する事、病院では見ることのなかった利用者さんの表情の違い、在宅ならではのケアの工夫等、初めての在宅の現場は毎日が発見の連続で、やはり訪問看護師として働きたいと強く思うようになりました。しかし、その時の私はまだ臨床経験少ない事を不安に感じ、総合病院へ再就職しました。その後、先に健和会で働いていた友人が「訪問看護師になりたい」という私の話を覚えていてくれて誘ってくれました。
認定看護師の資格は、2016年に取得しました。訪問看護師として働き始めて6年ほど経ち、この先も地域をフィールドにしていきたいという気持ちが強くなっていた時期でした。私の学生時代は訪問看護に関するカリキュラムがほとんどなかったので、訪問看護を基礎から学び直したいと思いました。また、他職種や家族など多数の人と関わって看護を展開していく中で、自身の看護を相手が理解できる表現で言語化し伝えることに課題を持ったことも進学の理由です。親しくしている先輩や同僚が、他分野の認定看護師の資格を取得し、活動を近くで見ていたことも刺激になりました。進学したことで、健和会以外の訪問看護師の横のつながりを得たことは今の大きな財産になっています。
訪問看護は、病気や障害と共存しながらその人が望む生活を実現するためにどう折り合いをつけていくかを利用者さんと共に考え、実践していきます。したがって訪問看護師には看護技術の提供の他、利用者さんの主体としたセルフケア支援、ケースマネジメントなどが求められ、且つ、それぞれの利用者さんの病状や環境で介入の仕方は異なります。ひとりよりふたり、チームで考えることでそれらの介入はさらに充実したものになります。私の役割はスタッフや他職種と一緒にこの利用者さんと家族のためにできるベストを一緒に考えて実践していく事だと考えています。
他、健和会認定看護師会として、他の認定看護師と一緒に、ステーションスタッフを対象とした現任研修の企画運営、新人研修の講師、定期的な学習会、研究協力などを行っています。
私たちの介入によって利用者さんの生活が改善された場合にはやりがいを感じます。
パーキンソン病の利用者さんで、楽しみにしているデイサービスを休むことが続いている方がいました。話を伺うと、朝の体の動きが思うようにいかず、出かけるのをためらっていました。そして起床時薬と朝食後薬の服用の間隔が極端に短く、ちょうど出かける時間帯に薬効が切れている可能性がある事が分かってきました。その方の出かける時間に合わせて服用時間を調整したところ、動きが改善して安全に出かけることが出来るようになりました。私はその方のやりたいことや大事にしたいことを一緒に大切にしていきたいと思っています。
「最期まで家で過ごしたい。家で死にたい」と思う人の希望を叶えられる訪問看護の体制を作っていければと思っています。多くの看取りを経験していますが、一人暮らしの高齢者となると、サービスでケアが賄えきれなかったり、途中で一人の時間の不安が強くなってしまって、入所や入院が選択される場合も少なからずあります。必要なケアが受けられて安心感を持って過ごせる環境をステーション群及び法人、関連事業所などと一緒に考えていきたいと思います。
健和会には複数の訪問看護ステーションをはじめ、病院、施設があり、自分のキャリアプランに合わせて選択することが出来ます。
現在、認定看護師は訪問看護の他、認定看護管理者、認知症看護の資格取得者がおり、老人看護の専門看護師も在籍しています。
訪問看護に興味のある方、看護師としてのキャリアアップを目指す方、私たちと一緒に踏みだしてみませんか?